匂いの記憶

匂いの記憶

大昔、私がほんの小さな頃、
祖父が通っていた理髪店の匂いが忘れられない。
すごく大好きな匂い。

きちんと整理整頓された店内は、
チリひとつ落ちていない清潔感があって、
紳士な店主の職人技だけが光ってました。

音も声も覚えていないけれど、あの匂いだけは忘れられない。
理髪店はどこでもあんな匂いがするものなのか、
何から漂う匂いなのか、
判らないことだらけの記憶の向こう側。

何かの瞬間、時々思い出すあの匂い。
どこに行ったらもう一度出会えるのかな。